無口な彼の愛し方
「・・・一応」

「全然知らなかった。むしろ先輩って、男に興味ないんだと思ってました」

「興味ないんじゃなくて、自分の男しか見えてなかったんだけじゃねぇ?」

「噓だぁ」


結城くんとまゆちゃんが勝手に話を進める中、瀬名さんが落ち込んでいた。


「瀬名、さん?あの・・・なんか、すいません」

「あ、いや。樋口さんが気にすることじゃないよ」


瀬名さんは笑って言ってくれているけど、あたしは彼のことを傷つけてしまったかもしれない。

フォローした方が、良いよね?

そう思うが、どうしたら良いかわからない。

それから、30分もしないでお開きになった。

帰り際、声を掛けようが悩んでいたあたしのことを、結城くんが止める。

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