無口な彼の愛し方
「だと、良いんですけどね」

「そんなに不安なら、試してみる?」


結城くんは鞄から何かを取り出し、あたしに吹きかける。


「香水」

「香水?」

「そ。好きな女から男物の香水の匂いがしたら、変な妄想膨らますだろうね。普通は」


変な妄想って・・・


「樋口さんが言うように、有村が樋口さんに興味なければスルーされる。でも俺の想像が正しければ、有村は絶対不機嫌になると思うよ」


これが吉と出るか、凶と出るか。


「じゃ、また」


そう言い、結城くんは帰って行った。

そんな結城くんの背中を、あたしはただ茫然と見送った。

帰り道、結城くんの言葉が頭の中を支配する。

もし、スルーされたら・・・

そう思ったら、不安でしかない。

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