無口な彼の愛し方
涙がこぼれ落ちないように、必死に堪える。


「・・・ちょっと、出てくる」


盛大なため息を零し、充は部屋を出て行く。

さっきまで包まれていた充の温もりが、次第に消えて行く。

それが、凄く悲しい。

充が不機嫌になるのは、いつものことだ。

でも、決して怒ることはない。

だから、あたしと充は今まで一度も喧嘩をしたことがない。

それを良いと言う人もいるが、あたしはそんな充との関係性を変えたい。

言いたいことを言い合って、喧嘩になったとしても・・・

また、仲直りすれば良い。

そんな風に思うのに、充との関係が壊れてしまうのが怖くて・・・

今の関係性を変えられずにいる。

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