無口な彼の愛し方
「あたしは充みたいに頭よくないから、ちゃんと言ってくれなきゃわかんない!」


酔っているせいか、いつになく今日の麗香は強気だ。


「何言えば、納得するわけ」


そんな言葉を言いたいわけじゃない。

でも年々麗香への接し方が素っ気なくなってしまっているのも、事実だ。

俺は好きな女の子に意地悪しちまう、小学生のガキか。

そんな自分に、つくづく呆れる。


「あたしは言わせたいわけじゃない。充が思ってることを知りたいの」

「知って、どうすんの?」

「え?」

「麗香が求めてる言葉じゃなきゃ、ただ麗香が傷付くだけだよ。それって、能力と時間を無駄に費やすだけだ」

「・・・充にとって、あたしと話すのが無駄なことなの?」


酷く傷ついたような、今にも泣きだしそうな瞳で麗香は俺を見る。

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