無口な彼の愛し方
充は何も言わずに、アメリカに行くつもりだったのだろうか?

別れているから、報告の義務なんてないけど・・・

でも、一言くらいあってもいいのではないだろうか?

一応、まだ一緒に暮らしてるわけだし。

2人で暮らすために借りたこの部屋に、あたし1人残されても困る。

お金の問題もあるが、この部屋には充の面影が大きすぎるよ。

充がアメリカに行く前に、ちゃんと話さなきゃ・・・

そう思い、充の車が停めてある会社の駐車場で、充のことを待った。

充が社会人になって、初めて買った車。

一緒に選んで、助手席はあたしだけの場所だと思ってた。

あたし達、どこで間違えたんだろう。

どこで、すれ違ってしまったんだろう。

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