無口な彼の愛し方
今のあたしは、素直に喜べないけど・・・


「良かった、か」


充は他人事のように口にすると、不機嫌そうにため息をつく。


「で、本題は?」

「あ、うん。この部屋、どうするのかなぁ?って」

「どうするって?・・・あぁ。新しい男でも出来たから、出ていくとか?なら、麗香の好きにすればいいよ」


突拍子もない充の言葉に、酷く傷つく。


「来月には、アメリカに行かなきゃイケねぇ。仕事も忙しいし、新しい部屋探してる暇なんて、今はねぇ。だから、部屋はこのままにしとく予定。元々俺契約だし、麗香には迷惑掛けねぇから、心配しなくていいよ」


淡々と業務連絡でもするかのように話す充に、突き放された気がした。

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