無口な彼の愛し方
「意味、わかんねぇんだけど」

「だから、好きなの!充が」


半ば逆ギレに近い勢いで、充に言い放つ。

すると捕まれていた腕を引かれ、充の胸の中に収められる。


「何なの、お前。まぢ、ムカつく」


そう言いながらも、抱き締める力が強くなる。


「好きなのに、別れ話してんじゃねぇよ」

「充だって、わかった。って」

「それは、麗香が別れよう。って言ったから、お前の意見を尊重してやったんじゃん」


そんなの、頼んでない!


「なら充は?充自身は、どうなの?あたしと、別れても・・・いいの?」


ゆっくりと離れ、真っ直ぐ充を見つめる。


「お前、こんだけ一緒にいてもわかんねぇの?」

「わかんない。信じてても、ちゃんと言ってくれなきゃ、不安になるの」


いつもじゃなくていいの。

本当に、たまにでいいの。

ちゃんと、言葉にして欲しいの。

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