【完】僕達のレンアイ事情
「あたしがやしなちゃんを忘れさせてあげるよ」



紗奈が俺を後ろから抱きしめる。



「…紗奈」


「あたしも祐希を忘れたいし」


「俺が忘れさせてやる」



紗奈の方に向き直る。



「改めてよろしくね」


「こちらこそ。こんな始まりだけど、ちゃんと大事にするつもりでいるから」



紗奈をぎゅっと抱きしめる。


紗奈が何度も丈に振られた時とか
その度に慰めて抱きしめたりしてきたけど。
まさか自分が彼氏になって抱きしめるときがくるなんて思ってもいなかった。


紗奈の顎に手を触れ、顔を上に向かせる。
そのまま紗奈の唇に俺の唇を合わせる。


何もする気ないとか言って、近くにいたら我慢できるわけなんてなかった。


紗奈の柔らかい唇を何度も求める。



「んっ」



なんだ、これ。
止まんねぇんだけど。
なんでこんなに違うんだろ。
なんでこんなに俺、余裕なくしてんだろ。

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