【完】僕達のレンアイ事情
「いや、違くて」



引くとかじゃない。
そうじゃないんだ、だだ。



「俺でいいの?初めてが」



口にして一気に不安になってくる。

俺は、初めてだってなんだって別にいい。
むしろ初めての方が嬉しかったりするし。
ほかの男に触れられた体より俺だけが触れたほうが嬉しいに決まってる。
でも、紗奈は違うかもしれないし。
まだ早いっていうなら待つつもりだ。



「俺でじゃなくて…」


「ん?」


「竜二がいい」


「…え」



紗奈の言葉に胸の奥が熱くなる。



「竜二がいい」



紗奈がもう一度口にして俺を見つめる。



「…紗奈。俺たぶん紗奈のこと好き」



たぶんなんて言葉で言うのはおこがましいけど。
でも、本当そうなんだ。
ハッキリと〝好き〟と口にするにはまだ早くて。



俺は俺の愛し方で精一杯の愛を紗奈に伝えた。




「あっ…」



紗奈のかわいい声に翻弄されながら。
こんなに気持ちを通わせたのは初めてだったかもしれない。
俺自身も初体験のような感覚を覚えた。

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