【完】僕達のレンアイ事情
「でもほんとに久しぶり。悠人がいないお出かけなんて」



窓の外を見て楽しそうにしてるやしなに心が踊る。


別にこれを〝デート〟なんて思ってないだろう。
俺だけでもいい。
これを〝デート〟だと思うのは。



「やしなはどっか行きたいところある?」


「んー。どこだろう…普段公園とかしか行かないもんなぁ…」



すっかり母親らしくなったその顔をのぞかせる。



「やしなは若いのに母親ちゃんとしてるよな」


「ちゃんと母親にならないと。あの時産むことを認めてくれた親たちに顔向けできないからね」


「たしかに」



やしなと丈はお互いが高校2年のときに悠人くんが出来たから、それはまぁ大変だったってあとから丈が言ってた。


なかなか認められないしな。
しかも丈はまだ結婚できる年齢じゃなかったから籍を入れたのは18歳になってからだし。



「あの時さささやかだったけど結婚式したじゃん」



俺は脳裏にやしなのドレス姿を浮かべて話す。



「うん」

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