【完】僕達のレンアイ事情
「やしな」



おれの呼びかけにラベンダーを触る手を止めて俺を見る。



「ん?」



変に緊張が走る。
言ったところでやしなとの関係が何か変わるわけでもないし、変えたいとも思ってない。



「好きだ」



俺の言葉にゆっくりやしなが立ち上がる。



「え?」



聞き間違いかとでも言うような表情で俺をみる。



「諦めたと思ってたはずだったんだ」



1歩ずつやしなに近づく。



「でも、いまは篠原さん…」


「うん。紗奈と付き合ってる」


「じゃあ…」


「でもさ、やしながどうしても好きで紗奈に向き合えないんだ」



困ったような表情を浮かべるやしなが見える。



「困らせるつもりもないし、丈との仲を壊すつもりもないから。そんな顔しないで」


「…神谷くん」



俺は深呼吸をして続ける。



「今日やしなにもう一度告るって丈も紗奈も知ってるから」


「え、そうだったの?」



やしなが驚くのも無理はない。
それを知って丈が行かせるなんて今までは考えられなかったから。

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