【完】僕達のレンアイ事情

本気になんてならなきゃよかった

「竜二ー?」



紗奈が窓を開けて俺を呼ぶ。



「ん?」



廊下からすぐのところに俺の部屋があって
廊下に来てくれれば家に入らなくても話すことができる。



「なした?入る?」



俺はドアを指さす。



「これから出かけるんだ」


「あ、そうなんだ」


「一応言っとこうと思って」



紗奈が俺から目を逸らす。



「言っとくって?」



いつもの様子と少し違うので顔をこっちに向かせる。



「同じ学科の友達の寮に行くんだけどね」


「うん」


「男子寮なの」


「は?」



紗奈の言葉に耳を疑う。



「ただの友達だから!ふたりじゃなくて、ほら結菜と千夏も行くの」



本当なら行かせたくなかった。
紗奈に他の男の部屋なんか入ってほしくなんてなかった。
そこで何も無いとも限らない。


でも、交友関係を壊したくなんてないし。



「ちゃんと帰って来いよ」


「うん。終電で帰る。帰ってきたらきちゃおうかな」

< 67 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop