【完】僕達のレンアイ事情
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「いらっしゃい」



丈の家のチャイムを押してでてきたのはやしなだった。



「お邪魔します」



俺はそう告げて靴を脱ぐ。



「振られたって本当?」


「そう、みたいだね」



やしなの心配そうな顔に心が暖かくなるけど
もう前のように特別な感情がまったくかんじられないのも不思議なものだ。



「神谷」



階段から丈が降りてくる。



「悪いな。せっかくの休みに」


「んなの気にすんな」



丈が階段を登ってくから俺もついていく。



「丈の部屋上になったの?」


「あー。あの部屋じゃ一人で寝るので限界だもん」


「たしかに。わがまま言って増築させたくせにもったいねぇ」



昔のことを思い出して笑う。



もともと丈の部屋は1階にあって。
丈が兄ちゃんと同じ部屋じゃ嫌だってわがまま発揮して、おじいちゃんが増築してくれたんだよな。

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