【完】僕達のレンアイ事情
「どうせもう兄貴もいないしな」


「そうか。つーかそのうちおまえらも出てくのか」


「就職したらな。来年入ったら就活だぜー」



ベッドに寝転びながら話す丈にたわいもない話で俺を元気づけようとしてくれるのがわかって嬉しくなる。



「丈はいいよな。守るべきものがあって」



俺だって覚悟はできてたんだ。
紗奈と一緒になるって覚悟。
まぁ、相手は望んでなかったって話。



「お前、先週LINEしてきてからなにあった?学校でもすっかり暗いから話聞にくいじゃん」



丈がベッドの上に座り直して俺を見る。



「ん。あの日の朝さ…」



俺はあの日の朝の出来事を丈にそのまま話す。



〝本気になんてならなきゃよかった〟



この言葉だけは言ったことを後悔してる。
でも思ったのはたしか。
本気になんてならなかったらこんな辛い思いなんてしなかった。
やしなへの叶わぬ片思いでもしてた時の方が全然いい。

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