【完】僕達のレンアイ事情
「話してこいよ」


「や、でもクラスのヤツらといるし」


「あれ?」



丈がそう言ったかと思ったら紗奈の方へ歩いていく。



え、なんであいつが行くんだよ。
俺、行きにくいし。



「久しぶりー!」



丈が話しかけたのは紗奈じゃなくて、一緒にいた中の一人の男だった。



「あいつ誰に話しかけてんの?」


「さぁ?俺も知らない」



〝久しぶり〟って言ってたけど誰なのだろうか。



「丈、友達ー?」



祐希が丈たちに近づいていく。
俺だけ一人ここから動けない。


祐希の声に紗奈もこちらを向いて、俺を視界に入れてすぐに逸らされる。



「…っ」



なんでこんなに痛いんだ。
俺はこんなにも紗奈が好きなのに
いとも簡単に俺を突き落とす。



「戻ろ…」



俺はみんなのとこには行かずにそのままエレベーターに乗る。



紗奈の姿を久しぶりに見れて嬉しいのに
紗奈が俺をちゃんと見てくれることはなくて。


胸が痛かった。

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