【完】僕達のレンアイ事情
「おい、神谷!」



エレベーターが完全閉じる前に丈によって開けられる。



「なんだよ」


「話さなくていいのかよ」


「はっ。目が合ってさ、話しかけようとしたよ。でも速攻で逸らされた。勇気なんて簡単になくなるのな」



俺はその場に座り込む。



「そこエレベーター乗りたい人の邪魔になるから一旦降りろ」



丈に言われて、エレベーターから降りる。



「俺、自分がこんなに臆病だって思わなかった。やしなのときガンガン行けてたんだけど」


「まぁ、現実いまのほうが大人だからよ。あの頃はまだ子供だろ」



やしなにガンガン行けてた中高時代ともうすぐ10代最後のいまとは怖いものも増えて当たり前か。



「あの頃、なにも考えずに行けてたもんな」


「だろ?いまはやっぱさいろいろ考えちゃうだろ」



同い年でずっと一緒に過ごしてきた丈はこんなに大人になってるのに俺は全然大人になり切れてない。

< 89 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop