【完】僕達のレンアイ事情
「とりあえずさ、券買ってやれよ」



丈が自分の手の券を見せる。



「フランクフルト…」


「篠原のクラスフランクフルトだって」



〝学祭やるならフランクフルトがいいなー〟なんて俺は前に紗奈に言ったのを思い出す。

ただの偶然なんだろう。
でも、それだけでも嬉しくなってしまうんだから恋ってすげぇ。



「緊張する」


「買うぐらいで何言ってんだよ」



丈が〝ははっ〟て笑う。



「行くか…」



俺は紗奈たちが話してる場所へ向かう。



買うだけ。
買うだけだから。
うまく話すんだ。

そういい聞かせながら。



「フランクフルト食べたい」



俺は紗奈の背中に向かって言葉を発する。



「え?」



紗奈は俺の声にバッと振り向く。



「買う?」



俺にフランクフルトの券を見せてくる。



「買う」



俺は財布から150円を取り出す。



「あ、もしかして竜二くんって人?」



紗奈と同じクラスであろう男が俺に聞いてくる。

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