【完】僕達のレンアイ事情
「俺、本気にならなければよかった?」


「え?」


「俺が本気になったら紗奈がいなくなってさ。本気になったの迷惑だったかなぁーって思ってさ」


「そんなこと!ない…」



紗奈が俺の胸に自分の顔をうずめる。



「おいおい。勘違いしちゃうぞー。俺はお前を好きなんだから」



本当はキスだってしたいし、ここで全てを奪ってだってしまいたい。



「妊娠はしてないよ」


「は?」


「あれはね友達のバッグ」


「なんだよそれ…」



俺は力が抜けてその場に座り込む。



「ごめんね。ああやって言えば竜二のこと諦められるかなって」


「諦める?ってそれ俺のこと好きなの?お前」


「うん。好き…」



紗奈の言葉にぎゅっと紗奈を抱きしめる。



「だったらなんで俺から離れるんだよ」


「ごめんね。なんかあの時苦しくなっちゃって。でも、離れてもやっぱり竜二のことが大好きで…」



紗奈の目から大粒の涙が零れていく。

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