【完】『そろばん隊士』幕末編

そうしたなか。

岸島芳太郎は組替で八番隊の組長となった谷三十郎の配下となり、平隊士から伍長に昇進し、給金も二十両に増えた。

伍長になると部下が五人つく。

そこで目端のききそうな芦名鼎という平隊士に、そろばんを教え始めた。

この芦名鼎、隊士としては剣が強い方ではなく、

「そのままでは見回りで斬られるのが関の山だ」

という岸島の配慮で、そろばんを身につけさせることにしたらしい。

ともに一刀流居合の同じ流儀で、生国も岸島が丹後宮津で芦名が但馬出石と近かったのも手伝って、すぐに打ち解ける間柄となった。



< 18 / 120 >

この作品をシェア

pagetop