【完】『そろばん隊士』幕末編
とにかく手分けして探そう、という話になり、岸島隊と阿部隊、注進のあと加勢に来た三番隊からの数人で方々に散って探したが、
「そちらは?」
かぶりを振るばかりで見つからない。
子の刻近くなるとすでに近藤や土方の知るところとなり、
「さては赤座、逃げたな」
逃亡は切腹である。
とにかく探し出せと言い、総勢で四十名ばかりで探索した。
すると。
丑の刻近くになって島原の郭で見たという証言が出て、郭の揚屋をしらみ潰しに聞き始めた。
やや間があって。
「見つかりました!」
声の方へ岸島が向かうと、輪違屋の一間で女と同衾しているとの目撃談で、
「いかがいたしましょう」
岸島は駆け付けてきた土方に訊いた。
「言うまでもない」
とだけ言い、顎で指図をした。