【完】『そろばん隊士』幕末編

酒井は検分役を仰せつかると、

「ならば、ご承知ながら役儀により検分をいたす」

「では早速」

と指で繰ってみせた。

「願いましては…」

酒井が思い付くまま数字を言う。

岸島がはじく。

記録がとられてゆく。

パチパチ、と小気味の良い音がする。

「これはなかなか出来ますな」

記録をちらりと見るなり、酒井兵庫は言った。



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