【完】『そろばん隊士』幕末編
◆21◆
話が少し前後する。
将軍となっていた一橋刑部卿は二条城に諸侯の名代を集め、
「まつりごとを朝廷にお返し申し上げる」
という、いわゆる大政奉還を表明した。
奇しくも坂本暗殺の時期である。
守護職にあった、新撰組の直属の上司である会津侯も、その場に控えていた。
屯所に一報がもたらされたのは当日の夜である。
公用方の筆頭である広沢富次郎と、添役の小野権之丞によって伝えられた。