約束ノート
健太はその言葉を聞き、恐る恐る目を開ける。

健太のすぐ目の前に、鬼の形相を浮かべる零士の顔があった。

「ひぃ!」

健太は床に座った状態のまま、後ずさった。

「行くな!ここで死ぬんだ!」

零士は健太の足首を捕まえようと、身を屈めた。

しかし零士の手が健太に届く事はなかった。

燃え盛る町子が苦しさのあまりか、零士の足首を掴んだのだ。

零士は掴まれていない方の足で、町子を蹴り続ける。

その隙に健太は必死で這いつくばり、零士の元から離れだした。
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