春のあなたへ
そろそろ戻らなければ心配して母が見に来る、席に戻ろうかともう一度だけ外に目を向けた時

街頭に照らされた道のある人影が目を惹いた。

彼は……

見覚えのある野暮ったい黒髪、制服ではないが夜の色にその肌の白さは何故だか目立っていた。

ふと彼がこちらを向いた。

目が合う。

その瞬間可哀想な程に彼は肩を飛び上がらせ顔を真っ青にした。

そのまま慌てて疎らな人の波を避けて去っていく。

そんな同級生を見て私は目をパチクリさせた。

どう見ても彼だった。

人違いという線も捨てきれないがだとしたら私を見てあんなに驚いて逃げないだろう。

何かあるに違いない。

私の胸は高鳴った。
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