春のあなたへ
次の日、早速学校で彼に話しかけようとしたがまだ登校していない様だった。

少し早すぎたかな。

浮つく気持ちを落ち着かせて自分の席に鞄を置いた私は教室の隅の方にある彼の席を見つめていた。

「那月おはよう! 今日は早いね」

すると教室の扉が元気よく開かれ仲の良い友達が登校してきた。

ショートカットの髪型に小柄な体格で誰とでも仲良くできる良い子だ。

「おはようひかり、今日は何となく早く目が覚めて」

笑顔でそう返すとひかりはへえ、と頷き自分の席に鞄を置きに行った。

その後ろを一緒に登校してきた彼女の幼馴染がついていく。

いつも通り仲良いな、と思いながらもすることもないので席に座って携帯を弄る。

今の所返事をしなければいけないものもないし暇なのでとりあえず皆の呟きを眺めていた。

するといつの間にかチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。

結局彼が登校してきたのはチャイムが鳴るギリギリの時間だった。
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