タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
雑談を母やお姉さん達がしているのを聞いたり、学校の事を聞かれたりして過ごしていると、係りの人が始まりを告げに来た

数珠を片手に私は立ち上がると、皆についてホールへと向かった


お葬式の間、私はただずっと、おばあちゃんの遺影を見つめていた

私の知っているおばあちゃんの顔だった

黄疸もなく、痩せすぎてもいない、私の知っているおばあちゃんの顔だった

私の番が来て、前に出てお焼香し、ゆっくりと席に戻ったその後も私はその遺影を見つめ続けた



部屋で1度は逃げたものの、別れの儀式だけは逃げる事ができなかった

係りの人に花を渡され、弟と2人で前に出ると、おばあちゃんの顔が目に入った

ショックだった

誰かが何処かで言っていた言葉を思い出した


『まるで眠っているようだ』

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