タバコと数式は思い出の中に ～私の好きな人は先生～

授業が終わって先生に指定された教室は、いつもの移動教室だった

相談者である、溝口早苗ちゃんは、私も授業で行くクラスの３年生だ

個別でそんなに多く話した事があるわけでなく、何回か授業中に質問された程度にしか話した事がなかった


「溝口さん…、サナエちゃんの方が良い？」

「どちらでも良いです」


『そりゃ、そう答えるよなぁ』と思いながら、下で呼ぶ方が親近感が湧いて話しやすいかなと思い、思い切って下の名前で呼ぶことにした


「サナエちゃんは３年生だから、この時期模試ばっかで大変だよねぇ～。私も通ってきた道だからよく分かる…」


彼女の反応を見ながら、言葉を選んで私は話しかけた

いきなり本題から入るのもどうかと思い、雑談から入ろうと思ったのだけれど……


「えっと、ごめん…。あんまり会話のネタ思い浮かばないから、本題入っていいかな？」

「はい」