タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
ここまで来て、面接で落ちたら洒落にもならないよなぁと思っていた面接だが、意外にも呆気ないものだった

名前を呼ばれて部屋に入ると、全身が心臓になったかのように感じたが、された質問がほとんど推薦書の補足のようなものであったため、一言話し出すと、さっきまでの緊張が嘘のように、滑らかに話せていた

「ありがとうございました。失礼します」

そう言って面接室を出ると、私は早々と階段を下りて外に出た

青い空と空気が心地いい


帰り道、銀杏の並木道を歩きながら、私は4月からこの道を通るのだろうと思った

皆、大学生に早くなりたいと言っていた

でも、私はこのままが、今が続けば良いのにと願っていた


無条件であの人に会えるこの時間が一生続けば良いのにと


青く晴れた空が、少し心に沁みた気がした

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