タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
9時から始まる卒業式に向けて、私たちは講堂の外に15分も前から並ばされていた

久々に友人と会えたからか、それとも受験の合間のちょっとした休憩になるからか、今日の3年生は一段と騒がしい

そのざわめきに先生たちが怒り出した頃、私は講堂の入り口のところにいる先生に気がついた

こうやって先生を見ることは今日で最後になるはずだ

それがもの凄くさみしい

いや、それだけでなく、ほかの友達とも会えなくなるのがさみしい

ここからもっとそれぞれの道を歩いていくことになる

ここを出て上京する人、他県に行く人、ここに残る人

進学する人、就職する人、浪人する人

もう今までの様に毎日のように会えなくなると思うと、私は式が始まってすぐの校歌を歌う事が出来なかった

歌えば一緒に涙が出てくる気がしたからだ


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