タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
「宗教がかってるって言っても最初の儀式だけよ」


変な興味を持ちだした市川君に私は卒業式の説明を始めた


「何か、女子生徒が聖水持ってきて、供えるっていうか、何というか。そんなのよ。それ以外は普通の卒業式ですよ」


伸びてきたうどんをすすりながら私は彼に言う


「いや、十分宗教だろ。面白いなぁ…」


『面白くない』と思いながら私は最後の一口を食べると、お茶を飲んで一息ついた


「それにしても、実習も気付けばあと少しだな」


お茶を飲みながら顔を上げると、彼はそう言ってしみじみしている


< 220 / 289 >

この作品をシェア

pagetop