タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
そう思っていると、私は自分のいる教室に近づいてくる足音に全く気付かなかった


――ガラガラ


と廊下に響く音で、私は初めて訪問者の存在に気づき顔をあげた

そこに立っていたのは今、1番会いたくない人物だった


「先生……」


そこにいたのは植本先生だった


「サクラちゃんなら帰しましたよ」


そう言って、先生に気づかれないように私は涙を拭った


「そうか」


そう言って先生は私の座っているベッドと並ぶ、もう1つの方に腰かけた


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