タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
廊下に響く音と共にドアを開けるとそこには市川君がいた

彼は私の方を見るとそのまま目を丸くした

彼は我に返ると、固まる私に近づきながら「ど、どうしたんだよ!?」と驚きの声をあげた

慌てて涙を拭い、私は「何でもない」と言って彼の横を通り過ぎバッグに手を伸ばそうとする


「何もないわけないだろ」


そう言ってバッグに伸ばした手を掴まれた

彼の方を見る事が出来ない

嫌なところを見られてしまった

出来るだけ早くここから去りたい私は、早口で言い訳を述べた


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