タバコと数式は思い出の中に ~私の好きな人は先生~
「先生、一昨日は変なこと言ってごめんなさい。でも言いたい事言ったら、分かったんです」


だから私は昨日の話をきりだした


あれから分ったんだ

私は失恋に失恋していた、思い出に恋していたんだ

思い出にすがっていたとも言える気がする

あんなにも好きだったから、すぐに忘れるなんて出来ないと確信していた

あんなにも好きだったのに、他に好きな人が出来たら、苦しかった想いも嬉しかった想いも楽しかった思い出も、全部なかった事になる気がして、それが私は怖かったんだ

ずっと好きでいて、私こんなにもあなたの事好きだったのよって、誰に言うでもなく自分に言っていたかった

そうすれば、もう傷つくこともないのだから

でも昨日思っていた事言ったら何だかすっきりしたんだ

私はとっくにちゃんと未来を歩けていたんだね


< 270 / 289 >

この作品をシェア

pagetop