たった1つの宝物

テスト期間が終了し、中間だったこともあり今はいつもの日常に戻っています。
普段通りに、次の期末テストに向けて授業はまた再開しています。



その日の2時間目が終わった頃。時は休み時間。


私はお昼ゴハンの買出しに購買に行く途中で…コケました！？

購買に行く途中の廊下が濡れていて、そこをピンポイントで歩いた私は見事に滑ってコケました…。
楓ちゃんも一緒だったけど、楓ちゃんはちゃんと避けて歩いていたから無事だったの。
コレが運動神経の差なのか、注意力の問題なのかはさて置き、どうやら足を挫いたみたい…痛い。

「大丈夫？　サヤカらしいっちゃサヤカらしいんだけど、ちゃんと気をつけて歩こうね？」
もはや、楓ちゃんは姉か母親のように私を苦笑気味に諭しています。
「歩ける？とりあえず保健室に行って冷やしてもらおっか？」
痛みが顔に出ていたのか、何も言わなくても楓ちゃんは私が挫いた事を察して保健室に行く事を勧めてくれます。

素直に頷くと、楓ちゃんは肩を貸してくれました。
そのまま保健室にも付いてきてくれたけど、保健の先生が「いつ痛みが引くかわからないから戻っていい」と楓ちゃんに言ったので、楓ちゃんは私を保健室に置いて退室していきました。

「ありがとう！ごめんね？」
楓ちゃんの退室際に、私はここまで運んでくれた事への感謝と休み時間を奪った事への謝罪の言葉をかけました。

「気にしなくていいから、早く戻っておいでよ？待ってるからね！」
優しく微笑んで言葉を返すと、楓ちゃんは保健室を去っていきました。

楓ちゃんは可愛いというよりも綺麗なタイプ。
しかも、ちょっとやそっとの綺麗じゃなくて、街中でモデルにならないかとスカウトされちゃう程の美人さん。
そんな女の子に優しく微笑まれたら、女の子の私でも少し顔が赤くなっちゃったりするんです///

いちおう言っておきますけど、私にそういう趣味は一切ありませんよ！？

とにかく、楓ちゃんの微笑みはそれくらい魅力的で、とっても綺麗な女の子なんだよ？って事を言いたかっただけなのです！

そんな事を回想している間に、なんと休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴ってしまいました！？


「先生？少し痛みが和らいできたので、そろそろ教室に戻ろうかと思います。」
保健の先生に声を掛けると、先生が私の足元にやってきた。

「そうだね？そんなに腫れているわけじゃないから、念のため湿布だけ貼ったら戻って良いよ。」
先生は薬がいっぱい入った戸棚から湿布と包帯、それにテープを出して、慣れた手付きで手早く私の足首をそれらで処置してくれた。

「じゃあ、もう授業始まってるから、静かに教室に戻りなさいね？」
先生は後片付けをしながら、そう言って私を保健室から送り出してくれた。

「はい、ありがとうございました。」
私もそれに従って、処置のお礼を言って退出した。