Ri.Night +


「あれ?十夜は?」

「中」

「あー、」



もう車に乗ってる訳ね。

後部座席の窓に近付いてみるけど、フルスモークのせいで何も見えなくて。

十夜の事だから、きっと寝てるに違いない。




「早く行こーぜ!」

「そだね。行こ行こ」



陽に促されて、各自ワゴン車に乗り込んでいく。


いつものセダンは定員オーバーで乗れないから、幹部全員で移動する時はこのワゴン車を使う事にしている。


因みに、既にもう定位置というものがあって、運転手は勿論壱さん、助手席は煌。

これはセダンの時と変わりない。


そして、二列目は彼方と陽で、最後列はあたしと十夜。


ついでに言えば、十夜の定位置はセダンと一緒の右後ろだ。




「ほら、やっぱり寝てる!」



車に乗り込むと、思った通り、いつもと同じ格好で寝ている十夜サン。


声を上げても何の反応も示さないところを見ると本気で寝ているらしい。



「……下りて待っててくれてもいいのにさ」


そう不満げに呟くと、


「えっ!?」


座席に置いていた右手がそっと握り締められた。



び、びっくりした!

え?起きてるの!?

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