溺愛兄
少ししたら、男の人が近づいてきた。

『きゃっ!』

襲われそうになった後だから、男の人を警戒する。

「大丈夫だよ。」

なんか、私はその声で安心した。

『え?』

「狐邑 蓮」

『は、はい?』

「狐邑 蓮 君は?」


ここで、教えてもいいのだろうか。
ダメだろう。でもこの人なら教えてもいいと思った。

『き、菊池 姫乃です。』

「姫乃。 可愛い名前だね!」

当たり前。お母さんが付けてくれたんだもん!一生大切にしなきゃ。

『ありがとうございます。』

「そうだ。どうして姫乃はここにいるの?」

『あの、……』

私は今までの事を省略しながら話した。お父さんにレイプされそうになったことも。

「そっか。辛かったな。家に帰りたくないだろう。良かったらうちの家族になる??」

『え?いきなり、見知らぬブサイクな娘を自分の家に連れ込むなんてありなんですか?』

「いいよ。だって、姫乃の目泣きそうなんだもん。このままほって置いたら心配て眠れないよ。」

『ありがとうございます。ほんとにいいですか?迷惑じゃありませんか?』

「大丈夫だよ。うちの親、娘欲しがっててさー。あ、でも姫乃のお父さんみたいな人じゃ、全然ないからね!!』

あ、と続けて狐邑蓮は

「さっきの事うちの親に話していいかな??嫌だったら、また、落ち着いたらはなす?」

狐邑蓮はとてつもなく優しい声で聞いてきた。

『あ、いいですよ。私から話したいです。』

どっちみち話すんだったら最初に話して、受け入れて貰えなかったら、自分でどっかいこうとおもった。

「わかった。じゃあ、行こうか。」

私は狐邑蓮に連れられて、狐邑と書かれた表札の前にいた。

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