秘密
秘密
私には人に言いたくない秘密がある。
私の身体にある火傷の痕のことだ。
私はその痕を、物心がつくまで知らずに育った。
何故って、その痕は お尻の膨らみの下にあったから。
ショーツに隠れるくらいの位置。
裸にならなければ気付かれる事もない場所。
鏡で見ようとしなければ分からない場所。
・・・母にその痕があることを告げられたのは小学何年生の時だったか。
鏡でその痕を見た時は驚いた。
直径3cm程の皮膚が引っ張られている様になっていた。
母は、とても辛そうな顔をして謝ってくれた。
父は、明らかに母を怒っている態度をとった。
だから理由は深く聞けなかった。
母が言う、「私の不注意で・・・」というのが真実なのだろうから。
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