秘密
私は、思春期になると、母とあまり口をきかなくなった。
別に反抗期とかそんなのではなく、ただ、母が煩わしかった。
でも、心のどこかで、
どうして私の身体に火傷の痕が残る様なことになったの?
お母さんの所為でしょ?
と思っていたのかもしれない。
私は、母よりも父が好きな子だった。
父は、私を可愛いと言ってくれた。
私には1歳上の姉と、2歳下の妹が居る。
姉は父に似て、スラッとした長身でモデルの様だったし、
妹は愛想がよく可愛いと評判で、顔は姉と妹が良く似ていた。
私は、祖母に似ていると言われる容姿で姉妹とは似ていなかったし、コレと言って自慢できることろもない子だった。
それでも、父は、私の事を ぽちゃりとした体形も短い指も全てが可愛いと言った。
憐れんでいたのかもしれないと、今なら思うが、その時の私は父の言葉だけが希望だった。
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