【短】雨音に耳をすまして
初恋の音
―*―
詩が好き。
作者が想いを込めて、美しい言の葉を紡ぎ出す。
なぜ、こんな表現が出来るのか。
なぜ、こんなにも共感出来る言葉が生まれてくるのか。
本当に不思議。
でも――。
「美音(みおん)! またそこ?」
ショップの前で友達に呼ばれて、あたしは面倒だと思いながら振り返る。
「悪い? あんたもどうせ彼氏のとこなんでしょ?」
「ま、そうなんだけどね。美音も彼氏作りなよ」
「……面倒」
そう呟くように言って、まだ話そうとする友達を無視して店内に入る。
決して友達と仲が悪いわけじゃない。
でも、付き合い方は薄いと思う。全てに置いて興味がないのかもしれない。
< 1 / 34 >