【短】雨音に耳をすまして
初恋の音



 ―*―



 詩が好き。


 作者が想いを込めて、美しい言の葉を紡ぎ出す。


 なぜ、こんな表現が出来るのか。
 なぜ、こんなにも共感出来る言葉が生まれてくるのか。


 本当に不思議。
 でも――。



「美音(みおん)! またそこ?」



 ショップの前で友達に呼ばれて、あたしは面倒だと思いながら振り返る。



「悪い? あんたもどうせ彼氏のとこなんでしょ?」

「ま、そうなんだけどね。美音も彼氏作りなよ」

「……面倒」



 そう呟くように言って、まだ話そうとする友達を無視して店内に入る。


 決して友達と仲が悪いわけじゃない。
 でも、付き合い方は薄いと思う。全てに置いて興味がないのかもしれない。


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