【短】雨音に耳をすまして


 理久は頭を掻き、当時を思い出したのかため息をつく。


 そんなこと、あったような気もする。
 で、あたしのことを調べようとしたんだ。トラブルの中心人物だからね、当然か。



「その軽音部部長は、今テニス部とか?」

「……え」

「なんとなく。日焼けが眩しい」

「当たり」



 何となくで当たってしまう。
 推理に向いているんじゃないかと胸を張りたくなったけれど、理久の前ではしゃぐのは馬鹿らしいと思いとどまる。


 しかし、同じ高校に通っていたとは驚き。
 同じ部室にいて部長の顔すら覚えていないなんて、無関心にも程がある。


 少しは周りを見ようと反省したところで、理久に向き直る。

< 15 / 34 >

この作品をシェア

pagetop