【短】雨音に耳をすまして
理久は頭を掻き、当時を思い出したのかため息をつく。
そんなこと、あったような気もする。
で、あたしのことを調べようとしたんだ。トラブルの中心人物だからね、当然か。
「その軽音部部長は、今テニス部とか?」
「……え」
「なんとなく。日焼けが眩しい」
「当たり」
何となくで当たってしまう。
推理に向いているんじゃないかと胸を張りたくなったけれど、理久の前ではしゃぐのは馬鹿らしいと思いとどまる。
しかし、同じ高校に通っていたとは驚き。
同じ部室にいて部長の顔すら覚えていないなんて、無関心にも程がある。
少しは周りを見ようと反省したところで、理久に向き直る。