【短】雨音に耳をすまして
冷たい女。
高校生にして、そんなふうに呼ばれることがあった。
確かにそうだから、言い返せない。傷つくこともない。
そんなあたしを庇った人がいたけれど、誰だったか……。
そんな思考を中止して、棚のCDに目を向ける。
学校帰り。いつもこのCDショップに寄る。
それがあたしの唯一の好きなことであり、落ち着ける時間。
面倒だったテストが終わったこともあって、今は解放感に溢れている。散財してしまいそう。
最近はダウンロードなんて方法で音楽を聴くのが当たり前。だからこういうショップは貴重で、取り寄せなくてもあるっていうのが嬉しい。