【短】雨音に耳をすまして


 理久は楽しそうに説明する。


 軽音部からテニス部に至るまで、何があったかはわからない。
 でも、テニスのリズムという話は少しわかる気がする。



「外にある音、ね」

「そう。今だって、ほら」



 理久が指さした外。いつの間にか雨が降ってきていた。



「雨も音楽」



 音を聴いてごらんと、梅雨らしい暗い空を指さす。


 店内にいるから、あまり聴こえてこないけれど、確かに雨の音がする。


 なんてことは無いただの空。激しくなってきた雨音は憂鬱を運んでくる。



「世界は音楽で出来てる。そう思わない?」



 これまでショップに売っている曲以外のものに興味を持つことがなかった。

 対する理久は、世界は音楽だと話す。

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