【短】雨音に耳をすまして


「な、なに?」

「卒業して諦めたんだよ。一度は」



 まだ理久の言おうとしていることがわからない。



「でも、またここで会えた。運命感じるだろ?」

「はぁ」

「だからさ!」



 理久は手に力を入れる。
 そんな彼の顔がだんだんと赤らんでいく。それを見るあたしまで熱くなる。


 理久の言おうとしていることが、何となくわかって照れる。心臓がおかしくなりそう。



「美音が好きなんだよ。ずっと好きだった」



 真剣な目。
 懇願するような告白。
 好きだと紡いだ唇が震えていて、理久が本気であることを知る。


 こんな風に自分の感情をぶつけられたのは初めて。初めての告白だった。

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