【短】雨音に耳をすまして
別に機械に弱いわけではない。今もスマホを片手に人気の音楽を検索しながら店内を歩いている。
詩とジャケットの雰囲気を見て、あたしは最近発売したばかりのものを視聴することにした。
ヘッドホンを付けて、音楽を再生させる。
程なくして曲が始まり、気に入った歌詞が歌われる。
想いが詩に、歌詞に、歌となる瞬間は、何かの儀式のように神聖なものに思える。
「バラードだけど……な」
好きなバラードだけど、初恋のものは苦手。歌詞をよく読んでみればやはり初恋。