【短】雨音に耳をすまして
興味があった。
かつて自分と同じCDを買い求めた人。
同じようにCDを買う人。
ラブソングに共感出来ないのは、恋をしていないからだと言い張った人。
恋をしたら、同じ場所に立てるような気がした。
ただ、同じ場所に立ちたかっただけ。理久と同じように音楽を聴いてみたかった。
ラブソングを心から共感出来るような、そんな世界にいられたらどんなに幸せだろうって。
「あなたの音を知りたい」
雨音に邪魔をされて聞こえなかったかもしれない。
あたしの言葉に理久は答えず、不安に思って彼を見上げる。