東の空の金星
温泉施設を出て、夕飯を食べに行く。

大和さんオススメの懐石料理。

こんな高級なところは来たことがないけれど、

大和さんの仕事で、使うところ。

のんびり出来る。と言って個室に案内された。



季節の食材が美しく盛り付けられた贅沢な料理。

私は少し背筋が伸びるけど、

「くつろいで良いよ。ふたりだし。」と大和さんが言ってくれたので、

中居さんに料理について聞いたり、美しい器に驚いたりしながら

楽しく食事をさせてもらった。

「シマは楽しそうに食事をするな。こっちまで楽しくなる。」

と大和さんが微笑んでくれるので、

私もとても嬉しくなる。



帰り道私はすっかりお腹がいっぱいで、うとうとしてしまう。

今日ははしゃぎすぎだ。
温泉も食事もとても楽しかった。

何より大和さんのそばで過ごせてとても嬉しかったのだ。


「シマ。」と呼ばれて目を開けると、目の前に大和さんの顔がある。

「うわっ!」と驚いた声を出すと、

「寝ぼけるなよ。着いたぞ。」

とクスクス笑って身を乗り出し、シートベルトを外してくれた。


近すぎる!と目をぎゅうと閉じるけど、


「置いてくぞ。」とすぐに私から離れ、


大和さんは運転席のドアを開けて外に出る。


ああ驚いた。

…キスされるって思った。



「はい!」と私も助手席のドアを慌てて開ける。


心臓はドキドキ飛び出しそうだ。

…ちょっと残念…だったかな。


とまた、顔を赤らめた。
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