東の空の金星
お正月。

『凪』のお休みは大和さんの休日と一緒だ。

店は業者さんのお掃除が28日に入った後、
好きに使って良かったので、

新しいメニューに熱い焼きたてのピザを加えようと、

毎日、ピザを色々作って食べている。

大和さんもなぜか実家には帰らず、私と4日連続で一緒にピザを食べ、

「正月じゃない。」と小さな声で文句を言うけど、

「一緒に食べなくっても良いですけど。」と私に言われるのはわかっているので、

「こっちが美味い。」とか大人しく意見を述べたりしている。



でも、お正月の2日には芳江さんがおせち料理を持って来てくれて、

ふたりとも、美味しいねえ。やっぱり日本人はおせちだね。

と言い合って食べたりした。


江ノ島の神社に一緒に初詣に行ったり、

映画を見に行ったり、

マスターの家に行って美羽ちゃんと遊んだり、

ドライブに出かけたりと

私と大和さんはどんどんふたりで過ごす時間が増えていくけど、

それは年の離れた兄妹みたいで、

おやすみ。と礼儀正しく、挨拶し、

決してお互いに触れる事なく、

私も大和さんもそれ以上は踏み込んだりはしないのだった。
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