東の空の金星
息を弾ませ、玄関に入ると
大和さんは私の手を引っ張って、自分の前に立たせる。

「どうしたんですか?」

「…三島のことは好きじゃないって言ってただろ。」

「好きじゃないですよ。」

「じゃあ、なんでキスしてるんだ?!」

「三島先生は私を好きだからじゃないですか?」

「好きなら、相手の了承もなしにキスしていいのか?」

「大和さんはいちいち『キスしていい?』って相手の女性に聞くんですか?」

「…」

「しょうがないでしょ。突然だったんだから…
きっと私に殴られてもいいからキスしたいって思ったんじゃないですか?
多分あの後、殴ってたと思いますけど…」

「…」大和さんは怒った顔で私を見ている。

…なんでわからないの?

「大和さんは殴られてもいいから
キスしたいって思ったことはないんですか?
私はありますよ。」

と言って、思わず大和さんの肩に両手をかけて、伸び上がり、くちづけをする。

ああ、やっちゃったな。と唇を離して、

「ほら、避けられなかったでしょう?
ずっと、キスしたかったんです。
殴っていいですよ。」と私が睨むと、

「…シマ…俺は…」と悲しそうな顔をする。

「そんな顔しないでよ。
私の事はペットか年の離れた妹って思ってるのはわかってる!」

と私は玄関を飛び出した。
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