東の空の金星
「このアホウ!」

とバイクを降りてやってくるのはやっぱり大和さんだ。


私は立ち上がって砂浜に逃げ出す。


「どこにいた?!」

「ハンバーガーショップに…」と返事をしながら砂浜を足早に歩く。

足の長さの違う大和さんからは逃げられない。

絶対捕まる。

ってわかってるのにどうして、足が止められないんだろう。

「俺は寒い中、何度もこの辺行ったり来たりして走ってるのに!」と顔が怖い。

「だって寒くって…」と走り出すと、

「逃げるな!」と大和さんも走り出す。


「待て!」ととうとう腕を掴まれる。

私が諦めて立ち止まると、

「もう、逃げるな。」と深く私を抱きしめた。
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