東の空の金星
「ど、どうしたの?」

「もう、俺も逃げない。
ずっと好きだったよシマ。
桜子のことは忘れられないって思っていたのに、シマが好きになった。
16も年上のオジさんだから、
見守るだけでいいって自分に言い聞かせたのに、
桜子のを忘れられない俺じゃあ、シマを幸せにできないって思ってたのに…
三島とキスしてるシマを見たら、嫉妬で胸が灼けつくようだった。
俺のそばにいてくれないか。
桜子のことは…あまり考えないようにするから…」

「何言ってるんですか?
私は桜子さんと一緒にいたあなただから好きになったんですよ。
きっと、若い頃のあなたに出会っても好きになれませんでした。
初恋の人は誰の胸にもいるものでしょ。
それと同じだって思っています。」

「このままの俺でいいのか?」

「そのままの大和さんが好きです。…私が好きですか?」

「好きだよ。大好きだ。」と大和さんは言って微笑み、

私の頬をそっと撫で、深く唇を重ねてくる。


私も背伸びをして

少しずつ激しくなっていく、くちづけを夢中で受ける。


砂浜を歩く人達が、
結構なディープなキスをしている私達を避けて通っている気配がするけど…

そんな事には構っていられないほど、

私達はお互いの唇と気持ちを確かめ合っていた。
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